島民たちの手で創る、御蔵島ならではの敬老祝賀会

御蔵島では、毎年9月に御蔵島社会福祉協議会主催のもと、敬老祝賀会が行われます。今年も、9月28日に御蔵島開発総合センターにて敬老祝賀会が開催されました。
昨年までは島内の団体の他に島外からきていただいた芸人さんが出演してのイベントでしたが、今年は島内の団体のみの出演となり、島民による、島民のための手作りのイベントとなりました。
式典ののち、まずは御蔵島保育園の発表。今年はマツケンサンバⅡの陽気なリズムに合わせて、8名の保育園児たちが踊りました。カラフルなボンボンを持って踊る園児たちの姿はとても可愛らしかったです。特に、子供たちが高齢者のみなさまのお席にボンボンを届け、一緒にボンボンを振る姿は温かくほほえましい光景でした。
続けて、御蔵島小中学校の発表。毎年、校歌と島の踊りを行いますが、今年はなんと、御蔵島吹奏楽部とのコラボレーションが実現。吹奏楽部の生伴奏で校歌を歌いました。いつもの録音に合わせて歌う校歌とは違い、吹奏楽の生演奏の迫力と、楽器の音に負けじと大きな声で歌う子どもたちの姿はとてもたくましく感じられました。
そして、島の踊りはお馴染みの「大漁節」。会場がひとつの大きな輪になって、みんなで踊ります。世代を越えて身体に染みついた踊り、みなさん楽しそうに踊っていました。
最後に、来年3月で島を離れる予定の中学3年生たち(島には高校がないため、高校進学のため島を離れます)が、高齢者のみなさまに向けて島で過ごした15年間について一言ずつ感謝の言葉を送り、これからの抱負を語ってくれました。
旅立つ側、見送る側、御蔵島特有の「15の旅立ち」への想いに、胸が熱くなった瞬間でした。

そのあとは、初出演の御蔵島吹奏楽部の発表。
御蔵島吹奏楽部は昨年6月に発足したばかりの社会人部活です。御蔵島小中学校音楽科教諭のもと、小中学校の音楽室に眠っていた管楽器を借りて、管楽器経験ゼロだった10名の方々が、日々練習に励んでいるそうです。
今回、演奏した曲目は「銀河鉄道999」と「宇宙戦艦ヤマト」という、昭和宇宙系アニメの主題歌2本立てでした。宇宙戦艦ヤマトでは、曲の途中で立ち上がって吹くなどの演出が加わり、管楽器を始めてわずか1年3ヶ月だということを忘れてしまうような演奏で、観客を圧倒しました。
今年9月からは小学生吹奏楽部も始まったそうで(小学校全体児童の約半数である12名が所属しています)、今後の御蔵島の吹奏楽部に注目です!
吹奏楽部の次は、同じく初出演となった、御蔵島中学校文化部のバンド演奏の発表。御蔵島中学校では運動系は野球部、バドミントン部など細分化されていますが、文化系は『文化部』として、さまざまな活動を行っています(中学生のほぼ全員が運動部と文化部を兼部しています)。
今回は中1・中2の混合バンドが「ルージュの伝言」を、中2・中3の混合バンドが「怪獣の花唄」を披露してくれました。
中1・中2のバンドは息のあった安定したリズムで、澄んだボーカルの声がとても印象的でした。
中2・中3のバンドは経験値もあり、非常に落ち着いた演奏でした。3年間やってきた楽器の演奏にも余裕があり、彼らが敬老祝賀会で演奏するのはこれが最初で最後かと思うと、とても感慨深いものでした。

トリを飾るのは、敬老祝賀会ではお馴染みのフラサークルWaiWaiのフラダンス!今年でなんと、結成17周年になるそうです。
結成当初から長く続けている大人たちのフラダンスは本格的で、先ほどまでとはガラリと雰囲気が変わって、ゆったりとした時間が流れました。
子どもたちと一緒に踊る「ケイキフラ」は、とてもかわいらしく、まるでリロ&スティッチの世界観!御蔵島が一気に南国になった瞬間でした。
そんな、村民たち手作りの、あたたかな雰囲気の御蔵島の敬老祝賀会。
御蔵島をずっと支えてきてくださった方々への感謝の想いを新たにした1日でした。