みくら便り

東京都交響楽団による
木管五重奏
~都響×御蔵島吹奏楽部の共演〜

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毎年、御蔵島では「島しょ芸術文化振興事業」の一環として、内地で活躍されている楽団を島にお招きし、演奏会を行っています。

今年度は東京都交響楽団(愛称:都響)の木管五重奏の皆さまが御蔵島を訪れ、地元で活動する御蔵島吹奏楽部との共演が実現しました。

初日は夕方から保育園内で保育園児向けにコンサートを実施。その後、御蔵島吹奏楽部の木管楽器奏者からのお悩み相談室と称し、都響のフルートとクラリネットのお二方がリードのつけ方から楽器の支え方など細かなアドバイスを行ってくださいました。

島という環境の中で楽器を練習するにはどうしてもYouTubeや教本に頼ることが多くなってしまいますが、実際にプロの方とお話できたことでたくさんの学びがあったようです。

翌日は、小学生吹奏楽部との交流会が行われました。楽器に触れて2ヵ月ほどの子どもたちですが、都響の方々と一緒に小さな世界」を演奏し、一生懸命に音を合わせようとしているのが印象的でした。

子供たちはプロの演奏家の音に間近で触れ、御蔵島では見たこともなかった楽器に興味深々でした。
ファゴットとホルン、どちらが長い楽器でしょうか?」など、クイズにも挑戦(答え:ホルン)。
ホルンはどうして手を突っ込んで吹くの?」という素朴な疑問も出て(答え:手を入れる角度で音程を調整している)、とても貴重な時間を過ごすことができました。
夜からの本公演では、都響の皆さまによる華やかな木管五重奏が島の体育館に響き渡りました。アンコールには御蔵島吹奏楽部とともに”A Whole New World”を合同演奏し、観客から温かい拍手が送られました。
昨年6月に結成された御蔵島吹奏楽部。

数十年前に吹奏楽部や金管クラブに入っていたという数人を除き、部員のほとんどが管楽器に触ったことのない素人の社会人たちだったそうです。
そんな素人だらけの吹奏楽部が、創部1年半足らずで東京都交響楽団と一緒に演奏するという奇跡のようなコラボレーションを実現させました。そのコラボの裏側を、御蔵島吹奏楽部の顧問で御蔵島小中学校音楽科教諭:中瀬古渉先生と、御蔵島吹奏楽部の部長:加藤暁音さんに伺いました。

Q:吹奏楽部が御蔵島にできたきっかけは何ですか?

A(加藤):私は幼いころからピアノをやっていましたが、管楽器の経験は全くなく、いつかやってみたいなと漠然と思っていました。
たまたま、島の小中学校に今は使われていない管楽器があるという話を聞き、それを是非活用できないかと思ったことが、吹奏楽部を創るきっかけとなりました。
その時に新しく赴任してきた音楽教諭の中瀬古先生に、島に吹奏楽部を創りたいので、顧問をしてくれませんか?」と初対面の第一声で唐突にお願いしたんです。

(中瀬古):赴任して早々吹奏楽部を始めたい」と声をかけられたことを今でも鮮明に覚えています。私も小学生の頃から吹奏楽に親しんできたこともあり、長く吹奏楽に携わっている者として、その想いに応えたいという気持ちが自然と湧きました。

(加藤):最初は音が出ず、カエルの歌が満足に吹けないような状況でしたが、みんな毎週木曜日の部活には必ず参加して楽しく練習していました。
そんな様子を見た小学生たちが吹奏楽部に入りたい!楽器をやりたい!入れて!」と声をあげはじめました。けれど、夜遅い時間帯の社会人吹奏楽部と一緒に活動するのは難しいため、2025年9月から、夕方の時間帯で小学生吹奏楽部を立ち上げました。現在、島の小学校全校児童の約半数にあたる12名が活動しています。

Q:今回の都響とのコラボ企画を最初に聞いたとき、どう思いましたか?

A(中瀬古):東京都交響楽団という日本を代表する演奏家の方々と、島の子どもや社会人が共に音を奏でる機会は滅多にありません。音楽の素晴らしさを肌で感じる貴重な学びになると思い、島全体で音楽を楽しめる特別な時間にしたいと感じました。

Q:リハーサルや本番の中で印象に残ったことはありますか?

A(加藤):都響の方々の音の安心感がすごすぎて、その音の中に混ざって吹けたなんて、もう本当に幸せすぎる時間でした。
リハーサルのラストの演奏の録音を聴くと、驚くほど素晴らしい演奏になっていて、わたしたち、こんなに上手かったっけ?と、嬉しくなって何度もリピート再生して聴いています(笑)。

Q:今後の吹奏楽部の目標はなんですか?

A(中瀬古):音楽を通して島の人々とつながり、御蔵島の魅力のひとつとして愛される吹奏楽部でありたいと思っています。島に音楽があることで、人と人とが自然に笑顔でつながっていく、そんな存在を目指しています。

A(加藤):みんなで楽しく続けていくことです。楽器が楽しい、音楽が楽しい、そう思い続けられる限り、部活も続けていけるのかなと思いますし、結果的に良い演奏ができるようになっていくのだと思います。
昨年のこの演奏会のときには、やっとカエルの歌を吹けるようになった程度だった私たちでしたが『来年は吹奏楽部で演奏会の前座でもやっちゃう?!』と、部員どうしで笑いながら話していました。
冗談のつもりだったのに1年後にまさか、前座どころか共演させていただくことになるなんて、夢にも思いませんでした。
このように、まさかね!?」を実現させながら、人と人とのご縁を大事にしながら、楽しそう、面白そうと思えることをどんどんやっていきたいと思っています。
最終目標は、東京都吹奏楽コンクールの一般の部に出場することです(笑)。そして、これからも御蔵島の芸術文化活動を音楽面から盛り上げていきたいと思います。